胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌、胃悪性リンパ腫の原因菌
 『ヘリコバクター・ピロリ』(ピロリ菌) :検査と除菌治療のご案内 ピロリ菌による慢性胃炎の除菌治療に保険適用!
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このページの最終更新日 2016年06月01日
       

 ヘリコバクター・ピロリは胃の強い酸の中でも増殖する変わった細菌で、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者さんの胃の中に高率に発見されます。胃炎や潰瘍の原因になっていると考えられています。 この菌が胃の中に住みついていると萎縮性胃炎という病気がおこり、胃癌が生じやすくなることがわかっています。さらにリンパ球の悪性腫瘍である胃悪性リンパ腫の発生にもこの菌が関与しているといわれるようになりました。すでに胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者さんには、まず第一にこのヘリコバクター・ピロリを取り除く治療(除菌)が行われています。2000年11月から日本でもピロリ菌の検査と除菌治療に健康保険が適用されました。さらにごく最近2013年2月からはヘリコバクター・ピロリによる胃炎にも健康保険が適用されました。この治療が成功して菌がなくなると潰瘍は非常に再発しにくくなることがわかっています。ヘリコバクターを除菌すると、胃癌も発生しにくくなると考えられています。また、早期の胃悪性リンパ腫ではヘリコバクターを除菌することによって治癒してしまうことがあります。(当院でも実例があります。)

 どうすれば検査できるか: 血液を採取してヘリコバクターに対する抗体を調べるのがもっとも簡単な方法です。糞便中の抗原を調べる方法もあります。

しかし、除菌治療の前に内視鏡で胃の内部を検査して潰瘍や胃癌の有無をしらべることは必須です。


除菌できたかどうかはこの菌が胃液の中の尿素を分解してアンモニアを作る性質を利用した検査法(尿素呼気テスト)が最も確実で、除菌後にもっとも早期に判定できます。ピロリ菌保有率は若い人ほど低く、20歳前後の人では5%まで低下しています。高齢の方では高率になり、アジアなど開発途上国の人々と同等であることがわかっています。戦前戦後の衛生事情のあまり良くなかった時期に生まれ育った人と、高度経済成長時代以後に生まれ育った人の違いが現れていると考えられる結果です。

ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎も健康保険で除菌治療が認可されましたヘリコバクター・ピロリ感染性胃炎(慢性萎縮性胃炎)にも除菌治療が認可されています。これによって従来除菌治療の適応症であった胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病のほか、いまだ日本人に極めて多い胃癌の発生母地となる慢性萎縮性胃炎に治療の道が開かれました。 強力に胃酸を抑制する薬1種類(ボノプラザン)と、抗生物質2種類(クラリスロマイシンとアモキシシリン)を1週間服用するのが最初に行われる治療です。この治療で9割は除菌できます。

当院ではヘリコバクター・ピロリの検査と除菌治療を行っております。詳細は医師にご相談下さい。

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